プレジャーボート航海記

Minor29で行く日本沿岸の旅。Minor29の購入から北海道〜横浜ベイサイドマリーナまでの回航・港・観光・宿泊情報。横浜から沖縄までのクルージングも成功、様々な寄港地での人情をご紹介。

2007年11月

    準備が始まる

    海難事故の確率は車よりも圧倒的に高い。波のすぐ下でも上から見えない。FRPでできたボートは暗岩にぶつければ割れる。漂流物で船体に穴も開く。燃料切れは場所によっては生死にかかわる。転覆すれば海にほおりだされ、海に浮かんでいても長くは生きていられない。見張りを怠るとあっという間に船舶同士で衝突する。くじらにぶつかったというのもあった。やはりボートの旅は冒険だ。

    日本1/4周に近い大回航は慣れた人でもやはり気合が必要だ(あんまり慣れた人いなさそうですけど)。ましてや、購入して初めての船をいきなり北海道から愛知県までかよ!という話だ。楽しい旅にするにはそれに見合った十分な準備をする必要がある。

    北海道小樽から愛知の距離はどういう距離だろう。日本水路協会の「港湾案内」を購入して調べてみると、沿岸を伝っていくとだいたい1200マイル以上ある。
    フェリーならば昼夜ぶっ通しで走って40時間。プロの回航屋さんなら4日の距離だ。ならば私たちは10日前後かけて回航することにする。場合によっては20日かけてもよい。無理をしないことが私たちのルールだ。

    装備品の差がまさかの時に明暗を分ける。春の北海道や三陸海岸は霧が出るとのことなので、全国版のGPSや詳しい海図、港湾案内やレーダーもほしい。インターネットをするためのモデムもPHSと携帯の2種類を用意しよう。その他、ロープや予備アンカー、生活用品など細かい装備品まで含めればいろいろと準備したいものがある。
    私たちの目的はあくまでも<旅>。港に停泊したら、現地のホテルや温泉、観光地など、いろいろ情報も集めておきたい。

    1級免許もこの際とる事にした。回航には必須ではないが取得しておくことに越したことはない。これからの数ヶ月は予備演習や装備をそろえることにオフタイムは費やされそうだ。
    浜ちゃんが言っていた。
    「船の旅は出航する前から始まっているんですよ。」
    購入した「プレジャーボート・小型船用港湾案内」

    契約

    まみちゃんはせっかく北海道にある船を買うんだったら自分たちで回航したいと言う。これは<買うことを決意する前から>そういっていたことだ。

    マリンウエーブ小樽で船を前にしての質問も、この船はどれだけ走っていて、どこに不具合があって、どこをぶつけていて・・・・
    というお決まりの質問はゼーンゼンない。まみちゃんはスタッフに
    「名古屋まで回航すると自分たちなら何日かかる?」
    「春は危ない?」
    「流氷にぶつかる?」
    といった具合に、<困った人>と思われかねない質問をしまくる。まあ、いつものことだが、相手はだんだん面白くなって余計にまみちゃんを煽るような答え方をする。

    こう書くと、まみちゃんの方が購入に乗り気だったような感じだが、決してそうではない。
    「購入するんだったらとことん楽しむ。回航もチャンスのひとつ。ただし、購入する場合にはね。」
    というのがまみちゃんの基本的なスタンスなのだ。公認会計事務所出身の奥さんらしく、これも予算案の作成作業のひとつなのだ。

    私たちのボートライフは<旅ライフ>なのだ。車や飛行機ではなく、洋上から好きな港を選んで上陸する。シーレイでボートの楽しみ方を知り、ヨットで海の壮大さを知り、港で人に親切にしていただくことを重ねていって、そうした日本人の原点のような旅がしたくなったのだった。そのためのツールを購入するという目的にちゃんと沿った質問なのだ。ここが物を購入するときの姿勢の違いを感じるところである。

    「で、でも僕はまだこの夏に免許とったばかりの休日ボート乗りだよ」
    「だあいじょうぶだって。」
    いいだしたらなかなか後には引かないまみちゃんだ。確かに、沿岸から離れず、天気図とレーダーを常に確認し、危なかったらすぐに非難すればリスクを抑えることができる。場合によっては新幹線で名古屋に帰ることも可能だ。

    だがそうなると回航に日数も必要だ。長期間、会社を開けることになる。となれば回航の旅は会社の仕事が一段落する4月末から5月にかけての連休を利用するということになる。
    契約はするけれども、支払いは春・・・かなり虫がいい話ではある。

    契約はオカザキヨットの岡崎社長がわざわざ名古屋まで来ていただいて交わした。
    先方様には4月の26日まで繋留保管していただき、繋留費及び船底塗装費も契約に含んでいただいた。さらにおまけもしていただいて、エンジンオイルを交換し、船底塗装をしてもらうことに。これらの提案をすべて呑んだいただいたオーナー様やオカザキヨットの岡崎さんにはほんとうに感謝している。

    こうして、私たちの大回航は始まったのである。

    ミノア29購入を決意

    これまでに問い合わせたりカタログを取り寄せたりした船は結構多くなっている。この数ヶ月、暇さえあればインターネットを検索してボートについて調べてきた。
    半年前まではボートの事はまったく知らなかった私だが、
    1 インボードシャフト艇
    2 オールシーズン楽しめるシックな室内
    3 パイロットハウスで操船できること
    という条件にあった船については詳しくなった。というか、あまりそうした船は少ないことがわかってきた。ミノア29はそうしたマイナーなジャンルの船だ。

    断っておくがミノアはもちろんマイナーという意味ではない。
    紀元前2000年ころ、クレタ島を拠点とする民は地中海貿易で大いに栄えた。伝説上のミノス王にちなみ、彼らをミノアの民と呼ぶこともある。ミノアの人々は船を造るのがうまかった。そこでミノアという名をブランド名として用いることにした・・・
    というようなことがミノアのメーカーホームページに書かれていた。

    この船で日本のいろんなところに行ってみたい。いろいろと資料を集めているうちにそういう気持ちがどんどん湧き上がってきた。よし、ミノアに決めよう。

    石原裕次郎はLUCIAというヨットに乗ったのか・・・。この船に、LUCIAという船名をつけるのはあまりにも大それている。ならばクレタ島の女性名で近い名前はないかと調べてみるとLUKIAというのがあった。そうだ。船名はLUKIAにしよう。ブリーチに出てくる朽木ルキアからとったようではあるけれども。

    マリンウェーブ小樽

    朝7:30分のフライトで札幌へ。そこからレンタカーで札幌へ。まみちゃんは週末まで北海道のソフトハウスと打ち合わせや営業で先に札幌に入っていた。お疲れ様。

    ちょうど中日ドラゴンズが北海道日本ハムファイターズを破って優勝した直後に北海道入りしたまみちゃん。
    「悪いタイミングで<名古屋>から<北海道に来たね>」
    と営業先で白い目で見られたそうだ。はは。でも、勝負は勝負ですから。

    札幌でまみちゃんと合流した後、ミノア29が繋留されている「マリンウェーブ小樽」へ向かう。ここは石原裕次郎記念館の隣にあるマリーナだ。このマリーナはヨットとボートが半々くらい。ゆったりとしたバース。ボートを見るとやたらグランドバンクスが浮かんでいる。なんだか高級感があふれている。

    外はさすがに小樽だけあって肌寒い。船を見る前に、近所の市場内にある食堂に入った。うにといくらで山盛りの海鮮丼を食べる。激安で旨かった。

    バースの奥に目的のミノアは繋留されていた。ミノア29は予想以上にいい船だった。まわりの船が大きいので29フィートあるのにこじんまりして見える。パイロットハウスに入れていただいた。ヤマハ32コンバーチブルやポーナム28の室内が豪華な都会のホテルの一室に例えられるならば、こちらは深い森の中の湖に突き出た岬に建てた別荘。フィンランド人の休日の生活のあるべき姿が伝わってくる。

    室内はあまり広くはないが、大人5人がゆったりめの椅子に座って海を眺めながらゆっくりと話しをするには十分だ。木製の舵、木製のドア、木製の計器パネルがいい。パイロットシートは船の中央に配置してあり、左右のドアのどちらにもすばやく移動できるようになっている。これならフェンダーの上げ下ろしの度にひやひやしなくてもいい。寝室はバウとスタン側に2室。十分な広さだ。

    マリンウェーブのスタッフはこの船のエンジンの整備をして試験航行もしたばかりだそうだ。
    「波をつぶして走る感じ。パワーと船体がよくあっていていい船だと思いますよ。」
    とのコメントだった。

    新艇で購入すればなにもついていない状態で2300万円くらい。最近ユーロがどんどん上がっている。これからも円安基調で輸入ボートは高くなっていくだろう。2005年の登録でバウスラスター、陸電、GPSがついて税別1480万円。お買い得だと思う。でも、そうは簡単にはまみちゃんのOKはでないだろうな・・・。

    石原裕次郎記念館に入って、裕次郎とヨットの世界を偲んだ。裕次郎の主演映画「狂った果実」のヨットの船名はLucia(サンタ・ルチアのルチア)だった。
      blue-7
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