豊見城市に小さな家を購入した。契約や引き渡しの手続きもあって、このところ何度も那覇市に行っている。前回は僕一人で沖縄入りした。
6月30日、僕は那覇空港で名古屋へ帰るため、ANAを待っていた。
出発予定時間より2時間も早く那覇空港に到着したので、那覇空港の沖合に浮かぶ慶良間諸島でもゆっくり見ていようとレストランの窓際に座った。
ぼんやり窓から外を見ていると、目の前をF15が飛んでいた。
空港の滑走路にタッチダウンを行い、車輪をピタリと滑走路に着け、そのまま数百メートルをウィリー走行。
その後急速に上昇し、翼を地面に対してほぼ垂直と思えるほどの角度まで傾けさせて右転換。翼から空気を切り裂くときにできる霧の白い筋が糸を引く。
いったい何Gの重力がかかっているのか想像できない。
上空でバディーの機に近付く。そしてまた滑走路に向かう。
ある時は2機のF15が上下に折り重なるようにピタリと寄り添って飛ぶ。
かと思ったら上に着いていたF15が急旋回して逃げる。正に翼が触れ合いはしないかという距離だ。
それまで上に着かれていたF15が後を追う。しかし遥かに距離が空いている。
それらを休むこともなく、ものすごい精度で繰り返していた。一瞬のタイミングのずれやミスでも墜落だと思う。
訓練だけでも命がけだ。素人の僕にもわかる。しかしこの腕があるからこそ中国には脅威なのだと思う。
そうして航空自衛隊員の皆さんは東シナ海で僕たちの国を護っている。
僕は時間通りANAに乗り込み、那覇空港の滑走路に出た。
自衛隊のF15が滑走路を使うのでその間ANA機は待機して待つ。
F15が滑走路にタッチダウンした時、僕が乗ったANA機の前をF15が通り過ぎた。パイロットのヘルメットを一瞬だが見る事ができた気がする。
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那覇で熾烈な訓練を行っていたF15が墜落してしまった。
7月5日午前10時33分、那覇北西185キロの洋上に於いて、F15イーグル操縦士、川久保祐二空軍少佐(37)だった。
私たちは優秀な日本の戦士を失った事になる。
謹んでご冥福をお祈りいたします。