フラップとは船体のスターンから後方に突き出ているについている2枚の小さな羽。船尾の左右に2枚ついている。このフラップの働きは
1 船体が左右に傾かないようにすること。
2 前後方向の水平を保つこと。
船の姿勢を安定させて走るためにフラップ操作は欠かせない。

船体はある一定のスピードで水平に保たれていても、スピードを変えるとまたフラップの角度調整が必要になる。
鳥が飛んでいる姿をイメージしてほしい。
鳥が空中で風を受けて止まっている。そのとき、左右の羽と尾を微調整しながら姿勢を保っている。
あれと同じことをやらなければ船が海の上を走っているときに一定の姿勢は保てない。船もある意味3次元空間を走る。姿勢制御のメカニズムは飛行機と似ている部分がある。

排水型のボートや長いボートはそんなに微妙なフラップ操作は不要だ。
シーレイ230のように長さが短く、わりと腰が高い船型のボートで滑走するときは微妙なフラップ操作が必要になってくる。

船体の姿勢を変える力はいろいろだ。
1 プロペラの回転とは反対の方向に反動でねじれる力
2 船が進むことによって発生する水の抵抗
3 風、波、海流などの外力
そうしたいろいろな物理的な力をフラップと舵で最終的に調整し、進みたい方向と船の姿勢をバランスさせる。

例えば右のフラップを若干下げると
1 右のフラップ下面に水圧が発生する
2 右フラップに上方向と後方向の力が発生する
3 船の右船尾が持ち上げられ、右船首が下がる
4 針路がやや右に振られる。
そこで、舵をやや左に切ってバランスを保つ。

実際には頭で考えているわけではなく、右手でパチパチとフラップのスイッチを入れたり切ったりして姿勢を一定に保つ。
ボートのパイロットの目は海面の波を追い、木片や蛸壺などの障害物を避け、遠くの他船の動きを追い、左手は舵、右手はスロットルバー、フラップ操作を行う。
ボートの操船はわりと忙しい。将来、船もオートマになると思う。