梅雨が終わったと思ったらいきなり秋空で、ボートの夏はどこに行ったの?という2009年の夏。

乳がんの宣告を受けたまみちゃんはロングクルーズの予定を急遽変更して、オルタナティブな癌治療を本格的に開始した。もっか、福島の田代市三春町で3週間の癌のキュアプログラムに取り組み中だ。あわせて、超高濃度ビタミンC療法を行っている。

ぼくはまみちゃんにつきあいつつ、癌治療の合間に仕事をしている。ひょっとすると、僕の中にある未発見の癌の治療になっているかもしれない。

ルキア号でクルーズするのはこのプログラムが終ってからだ。

●まみちゃんの治療プログラム

まみちゃんの乳がんは
1 腫瘍 レベル5の悪性
2 段階 ステージ2
3 転移 不明(検査途中で中止)
4 診断 横浜市立大学病院
というもの。横浜市立大学病院での標準治療(切除、抗がん剤、放射線)を拒否し、ラジウム温泉治療と超高濃度ビタミンC療法を選んだ。
治療方針はまみちゃん自身がインターネットで検索し、意思決定したものだ。

●癌の標準治療

抗がん剤は副作用が強い。
抗がん剤の延命効果についてはエビデンスは認められるものの、延命効果が認められる人の割合は5%〜10%程度。
ただし、日本ではほとんどの人が標準治療を受けている。
乳房は他の内臓とは異なり、医師にとっては容易な手術だが、安易に切除されすぎているという批判もある。

●治療の概略

1 ラジウム岩盤浴「やわらぎの湯」で転地療法を開始
2 期間 2009年8月22日から9月12日まで
3 郡山市にあるクリニックで超高濃度ビタミンC療法を合わせて施術
4 日課
05時30分 ロッジで起床
06時30分 やわらぎの湯で岩盤浴
07時30分 朝食
10時30分 超高濃度ビタミンC点滴療法
12時00分 散歩・ティータイム
13時00分 岩盤浴
14時00分 仕事
17時30分 食事
18時00分 岩盤浴
20時00分 ロッジに帰宅

●やわらぎの湯について

医療機関ではないので、「療法」ということばは一切使っていない。また効果があるとは喧伝されていない。
しかし、利用者のほとんどが明らかに癌の代替治療機関でやわらぎの湯を利用している。

治療プログラムは以下のとおり
1 岩盤浴
  ラジウム線が検出される
2 温泉浴
  ラジウム線が検出される
3 霊水
  岩盤浴中に発汗するために水分補給のために利用する。ラジウム線が検出される
4 食事 
  野菜と果物、魚介類、肉料理、魚料理、五穀米やの料理をバイキング形式で選択。野菜を多量に摂取できる。
5 集団療法
  癌の体験談や情報交換を食事中に他の利用者と行う。
  ときどき、個性的な社長の話やヨガの先生の講話を聞く。

●超高濃度ビタミンC療法

ビタミンCが栄養素であることは誰でも知っている。
超高濃度ビタミンC点滴療法はビタミンCを血清中に400mg/dlになるようよう点滴すると、ガン細胞付近で発生する過酸化水素によってガン細胞が死滅するという現象を利用する療法。
重要なのはビタミンCが正常細胞にはなんら悪影響がないという点。ここが抗がん剤とは根本的に異なる。
ビタミンCはまだ抗がん剤としては正式認可を受けていないが、認可を受ける可能性がある。

参考 超高濃度ビタミンC点滴療法 水上治

まみちゃんは、郡山のクリニックでこの療法を受けている。
とりたてて副作用はないが、強いて言えば施術によって血管痛が少しあるという。
あと、帰って来たとき、顔がむくんでいた。

超高濃度ビタミンC点滴療法はボートで真っ黒にやけた肌の「美白」にも使いたいと思っているのでちょうどいいらしい。

●やわらぎの湯の利用者

宿泊客は1日だいたい150人前後?日帰り客は50人前後。3〜4泊の利用が中心。
お盆や連休はこの3倍にはなる。

やすらぎの湯では癌の治療に効果があるという人がリピーターとなっている。癌で亡くなられた方や効果がなかった方はリピーターにはならない。
したがって、やわらぎの湯の利用者によるやわらぎの湯の効果の声にはバイアスが掛かっているのは当然だ。
しかし、効果がある人がやたらに多いのは無視できない。
ほとんどの人が抗がん剤の投与経験を持つ。まみちゃんのように、標準治療が未経験の人はおそらくいないのではないか。

なぜ免疫システムが異常になるのか、またそれをどうやって正常化するのかについてはまだわかっていないことが多い
日本で行われている癌の治療は基本的に対症療法だ。免疫システムを正常化することを目的とした治癒ではない。

ラジウム線の癌に対する治療効果は再現性が確認されていない。それどころか、ラジウム線には発がん性があることが知られている。
ただ、やわらぎの湯はなんらかの望ましい効果があることは間違いない。免疫力が高まるような気がする。

効果の要因としては
1 温熱療法としての効果
2 ラジウム線の効果
3 転地療法の効果(温泉、景色、食べ物、仕事、花火大会、ブルーベリー狩りなどのイベント)
4 集団療法の効果
5 食事の効果

ラジウム線によって小さな異変が体全体で発生し、それまで不活性になっていた免疫システムが覚醒するという解釈が成り立つのかもしれない。
体温が上がり、発汗し、水を大量摂取することによって、基礎代謝が上がり、食事が進み、必要な栄養素を補給できるようになるのかもしれない。
循環系の機能が高まるのかもしれない。
ストレッサーとなる生活環境から逃れることによって体調が好転するのかもしれない。

癌の体験者による闘病生活の体験談を聞くことはよいことだ。
恐れや不安から解放される。今や男性の半分、女性の3人に一人が癌にかかる。日本人の死因のトップ。ひとりで悩んでいるとそれがストレスになり癌の原因になるかもしれない。
ここに来て、他の利用者から様々な情報を得ると「癌は当たり前、癌は治る病気」と思える。

僕達は猟犬を伴って利用されているご夫婦と仲良くなり、ハンティングのいろんな面白い話をうかがうことができた。
利用料金は岩盤浴の利用についても500円とリーズナブル。宿泊料も高くない。僕達はロッジを利用するが一泊6500円で、他の個室と価格設定が変わらない(ちょっと不思議)。
ただ、利用者の平均年収は比較的高いことが予想される。

やわらぎの湯の社長は「やわらぎ観音様の御利益かなあ」という。もちろん、否定しない。

●効果

まだわからない。ただ、乳がん癌が小さくなってきたような気がする。
生活はすこぶる快適だ。

●日本の医療について

日本の癌治療は遅れているらしい。

日本の医療は30兆円を越す。これは医療保険でまかなわれているため、国家予算とは別立てだ。詳しい数字はわからないが、癌患者に対する抗がん剤等の治療や無駄な手術で膨大な予算が使用されていることは疑う余地はない。その金額は、3兆円とも4兆円ともいわれている。
(厚生労働省発表の平成18年の国民医療費では悪性新生物の医療費は2兆8千787億円で全体の11%を占めている)

抗がん剤は莫大な利権だ。安価に合成できるビタミンCにとって代わられたら製薬会社はたまったものではないだろう。