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ブログの世界は面白いものだ。

このへんてこな<航海記ブログ>の読者のひとりのジェットラグさんは、僕たちが横浜から沖縄まで1500km以上の旅を終えたことをアメリカのミノア代理店に紹介して下さった。また小樽から横浜まで、やはり1500kmに及ぶ回航した事も合わせて紹介して下さった。おまけに・・・

「貴社はほんとうにすばらしい船を造りましたね」と。
「貴社もすばらしいが、乗っている人もすばらしいね。」と。

僕たちにとってはたいへん光栄で過分なメールを送ってくださったのだった。

その話は瞬く間にフィンランドのサリンズ社に伝わり、さらにアメリカのフィンランド領事館にまで伝わり、あっという間に僕たちはフィンランド領事館のレセプションに招待されるという事になってしまった。

何しろ僕たちは普段からパーティーとは縁遠い。ましてや領事館って国を代表するような人が行くところと思っている僕はとても焦った。

しかしMinorのメーカーの社長がとても喜んでくださり、「ぜひ会いたい!」と言っているらしい。

国内ではいろいろあって、日程が大変だったが、せっかくのお話なので領事館のパーティー?に行く事にした。ただ・・・僕はどんな服を着て、どんな会話をするのかわからない。

まみちゃんは和服がいい?とか言い出す。そこでジェットラグさんに服装について何度も聞いてみた。

なんでもカジュアルでいいらしい。ただ、カジュアルというのも幅が広くてわからない。不安はあったが、僕たちが普段着ている服の中でもちょっとよそ行きに着るくらいの服がそれにあたるらしいという事で、ポロシャツとスラックスくらいにしようという事で2010年9月14日、僕たちは日本を出発した。

ジェットラグさんはアメリカン航空の国際線機長。アメリカで働くたった2人の日本国籍パイロットのひとりだ。ここは当然、アメリカン航空のチケットを購入すべきところだが、HISへ行くと激安チケットがコンチネンタル航空にあったので、そちらを購入した。ジェットラグさんごめんなさい。

チケットが安かったのは良かったがJFK空港ではなかったことが災いした。後で知ったが、コンチネンタル航空の飛行場はニューアーク空港といってニュージャージー州にある。渋滞が激しい、高速道路が複雑なニューヨークを通り過ぎなければならない。

アメリカのカーナビ(GPS)はしょぼい。吸盤でフロントグラスにくっつけるタイプ。GPSは正確な住所を入力しないと目的地がセットできない。しかも古くてジェットラグさんの住所が登録されていない。だから目的地がセットできない。さらに電源アダプターの接触が悪く、頻繁に電源が落ちる。

そうした中を、ニュージャージー→ニューヨーク→コネチカット州と移動するのが課題となった。

特にニューヨーク市内は難しそうだ。超複雑なルートに加え、<右側通行>のアメリカの道を走らなければならない。僕は、「まるで水深がわからない見知らぬ海を走る航海のようだ」と思った。

レンタカーに搭載するカーナビ(GPS)は当てにならないが、コネチカット州がどちらの方角にあるかはわかった。成田に初めて来た外国人が鎌倉までカーナビなしで走るようなものといえばわかりやすいだろうか。

まずはコンビニで今自分がいるあたりの地図を買い、自分たちの位置を確かめた後、めいっぱいカーナビのレンジを広範にして読めない英語標識を読みながら、コネチカットまで走る事にした。

走ってみると案外アメリカの道は走りやすかった。ニューヨークはやはり緊張したが、それでもすぐにマンハッタンの「摩天楼」は遠くからでも視認できる。そのうちルート95号を見つけ、目的地にたどり着く事ができた。

ようやく到着したジェットラグさんの家は、想像を絶する豪邸だった。さすが、アメリカン航空パイロットの第一人者の家だった。