プレジャーボート航海記

Minor29で行く日本沿岸の旅。Minor29の購入から北海道〜横浜ベイサイドマリーナまでの回航・港・観光・宿泊情報。横浜から沖縄までのクルージングも成功、様々な寄港地での人情をご紹介。

乳がん

    生活の変化

    昨日は横浜市大でやったMRI検査の結果の説明を受けた。その際、同席して先生の話を全部の記録するようにまみちゃんに言われた。
    万が一の診断であれば気が動転し、先生の話を聞けなくなるといけないからだ。
    ショッキングな診断を聞き、気が遠くなると、いろいろな物事を判断できなくなり、面倒だから「お任せします。」となりやすい。
    その予防、というわけだ。

    診断は予想以上によい結果だった。結論から述べれば、
    1 タイプとしては、浸潤性がん・乳頭腺管がんであるが、まわりに浸潤している所見はなかった。リンパ節、肺、腹部、その他臓器への転移は認められない。
    2 大きさが1.2mm×1.2mmとなり、体積比で1/3近くになっている。
    3 硬さについてもやわらかくなっている。
    4 またHER2たんぱく、血液いずれもマイナスだった。

    全体的には順調といえる。
    ただし、MRIの検査で、乳房の奥の方に、小さな病変が新に見つかった。奥の方なので超音波では見つからなかったのかもしれない。
    大きさは5mm×5mmくらいだ。良性かもしれないが、正確に検査してみなければなんともいえない。

    これまで行ってきたことのうち、僕たちが最も効果があったと考えているのは<食事>だ。特に乳製品には気をつけている。

    今回読ませていただいた書籍の
    「乳がんと牛乳 がん細胞はなぜ消えたのか」(佐藤章夫訳) 径書房 
    Jane Plant; Your Life in Your Hands ; 2000年の邦訳
    は乳ガン患者にとって必読の書籍だ。

    マリーナに限らず、外食産業では多くの料理に乳製品が使用されている。この便利で栄養価の高い食品を遠ざけることは、欧米化した食事を劇的に変えることにつながる。
    玄米と野菜と果物をたくさん食べるようになった。野菜はゲルソン療法の真似をして、1日1リットル近い量を飲む。
    豆乳や豆製品についてはイソフラボンの関係で迷ったが、たくさん食べている。

    体重が減った。現在はまみちゃんが54kg。僕も73kg。1日2食の生活になった。二人で10kg以上は減量したことになる。
    お互いちょっと減り方が急激となってしまった。
    性格もお互いちょっと大人しくなりすぎたような気がする。そこで先週から動物性たんぱく質を増やして、朝夕の食事のどちらかで塩サバなども食べるようにしている。
    僕はウェストが85センチを下回り、メタボ男性ではなくなった。まみちゃんの食事療法で僕も生活習慣病リスクが下がった。
    これまで、数え切れないくらい失敗してきたダイエットだったが、命がかかると簡単だ。

    水を飲む量が増えている。岩盤浴、ホットヨガ、半身浴が終わると、必ず水を飲む。
    これまでまみちゃんは牛乳を1リットル!近く飲んでいたが、それを水に変えている。
    また野菜ジュースにも大量の水分が含まれている。

    超高濃度ビタミンC療法も行っている。1回75g。血中濃度で3800mgまで高める。
    この療法のいいところは、全国いたるところに対応しているクリニックがあることだ。ロングクルーズに出かけている最中でも治療を継続することができる。

    ラジウム線の岩盤浴も良かったかもしれない。ただ、まみちゃんは福島のやわらぎの湯にはあれ以来行っていない。
    福島のロマリンダクリニックで紹介していただいた、横浜市内のラドン温浴に通っている。
    ここはホルミシス療法で使われる岩盤浴のメーカーの実験施設で、日本一と言われているローソク温泉や玉川温泉よりもラジウム線が強い。
    ここを利用すると汗が大量に出るので水を沢山飲むことになる。

    乳ガンの標準治療は選択しなかった。
    この後、日馬 幹弘先生のところで乳がんの「ラジオ波熱凝固療法」を受ける予定になっている。なんと日帰り手術だ。日馬幹弘先生はニューヨーク医科大学から帰って来られた先生だ。

    まみちゃんの場合、自分の意思で抗がん剤やホルモン治療、放射線治療は行わず、これまで行ってきたことを継続するつもりだ。
    これまでと同様、代替療法の中からいいと思うことをどんどん取り入れて行きたい。

    それでもまったく油断できないので、定期的にMRIの検査は受ける。
    横浜市大は検査結果を快く渡してくださった。日馬幹弘先生のところでも検査結果が活用されることになる。

    8月にロングクルーズの機会を逃してしまった。とても残念だったが、その間劇的に人生が変わった。それはそれで良かったと今では思っている。

    11月にルキア号で西南を目指して出発することになった。

    ビタミンC

    ビタミンCをより多く摂取する人はガンのリスクが低い。
    ビタミンCは免疫機能を高める。
    もちろんガンの予防になることはわかっている。
    ビタミンCはガン細胞の増殖を抑制する効果がある。

    だが、経口摂取したビタミンCがガン細胞を殺すか?というとかなり無理そうだ。

    ビタミンCががんの代替治療で使用されたのは案外古い。
    1970年代の研究ではビタミンCを用いたがん治療が試みられ、抗がん剤としてビタミンCの可能性が示されたらしい。
    ところが実験デザインを詳細に検討すると、がんの治療効果があったという証拠は見つからなかったという。
    それでだんだんかえりみられなくなってしまった経緯がある。

    しかし、最近ではアメリカでも超高濃度ビタミンC点滴療法が行われ、ガン治療法としてかなり関心が集まりつつあるという。
    しかしまだこの療法についても、治療効果があるというエビデンスは得られるにいたっていない。

    ただ、ビタミンC点滴だけでは効果が得られなくとも、他の療法との組み合わせによって効果が得られるかもしれない。

    例えば温熱療法+超高濃度ビタミンC療法だ。
    抗がん剤による化学療法においても、温熱療法と組み合わせることによって抗がん剤の量を半分に減らせるという報告もある。
    今回のプログラムは超高濃度ビタミンC療法を受けつつ岩盤浴に1日3回入るというものだった。組み合わせのイメージが近いのかもしれない。

    ここ2週間、ビタミンC点滴療法と岩盤浴を行ってきて、
    ◎ビタミンC点滴を行った直後に、高温の方の部屋の岩盤浴を行ったときは乳房の患部やリンパがチクチク、ピリピリ痛む!
    ということがわかった。まみちゃんによると、ビタミンCが効いている感じらしい。

    もちろんラジウムの効果なのかもしれない。そうでないのかもしれない。

    乳ガンの大きさは来る前は2.5センチくらいだったものが、0.5センチくらいのコツッとした小さな粒があるかないかというくらいに縮小した。立位で触ってみれば全くどこにあるのかわからない。それに以前のように、乳腺のゴリゴリ感もなくなっている。
    体重は痩せたように思うが、体重計では数値的には変わっていない。体脂肪率が減ったのかもしれない。当然乳房は小さめになった。まだお腹はやや出ているが・・・。

    最終日が近づいたが、しこりが無くなってしまったというところまでは来ていないが、だんぜん自信をつけた。
    からだを温め、超ビタミンC療法を受け、みなさんの応援で気分がとっても良かったのがよかったのかもしれない。

    ビタミンC点滴は気軽で安全なところがまみちゃんは気に入っている。
    ビタミンCなだけに、点滴を受けても、気持ちが悪くなるとか、吐いてしまうとか、めまいがするといった副作用はない。ていうか美白になってうれしいくらいだ。
    岩盤浴は入った後、からだがとても気持ちがいいから気に入っている。

    ただ、この手法によってガンが防げるかどうかについては経過を見てみなければなんともいえない。

    温熱療法は心臓疾患や循環系の疾患があると利用できないだろう。
    岩盤浴ともなればあまりにも普通なので、日本の厚生労働省行政では保険の適用というのは無理がありそうだ。
    もっともそれほど高くはないし、癒しとしての岩盤浴と区別がつかないから保険が利かなくてもいいけど。

    でも患者としては、標準治療コースに従って、いきなり
    「余命何日です」
    「抗がん剤か放射線治療しかありません」
    「手術で切除しなければ転移します」
    はいやなのだ。

    今日本では診断群別に設けられた医療費の定額支払い制度で患者が早く退院しなければならないようになった。
    患者とお話してくれるような「報酬のない時間」をとるわけにはいかないのだ。

    臨床はエビデンスが先にあるのではない。治療効果があがることだ。
    誰か岩盤浴とビタミンCを組み合わせて施術してくれる奇特なお医者様はいないものか・・・。

    そろそろ横浜に帰る日が近づいてきた。
    ルキア号に藻はついていないだろうか・・・。
    CB750はETCの取り付のためにホンダに入ったままだ。もうすぐ会えそうだ。

    生活習慣の改善のためのメニュー

    今回、乳がんとの闘いは大成果を上げた。それで、今日も入れて残り4泊でやわらぎの湯のプログラムは終了する。今後はときどき来る程度でもOKだと思う。
    がんが大きくなりさえしなければ怖くない。
    がんの再発を予防するためには生活習慣の改善が極めて重要だ。そこで、生活習慣改善メニューを考えてみた。

    ●生活習慣改善プログラム

    1 1日30分のウォーキング
    2 週3回 1回1時間のホットヨガを行う
    3 週3回 岩盤浴(1時間)
    4 1日1時間のフューチャー14000(高電圧健康器具)
    5 ボート
    6 整体

    プログラムを長続きさせるため、基本的に楽しく、気持ちよく、好きなことを中心にプログラムする。
    特に運動は大切。1日30分のウォーキングを1週間に6日実行することで乳がん再発による死亡リスクを50%も減少するという。

    ボートはクルーズで波に揺られ、船体を洗ったりメンテナンスでこまめに動くため、運動になる。だからOK!
    がんは血行障害はいけないらしい。まみちゃんの冷え性と肩こり。これを治すため、岩盤浴、ヨガ、整体は欠かせない。

    僕はパソコンを使ってシステムの開発を行うときに、日常的に立った姿勢で行うことにする。これは筋肉を増やし、消費カロリーを増やす。
    ボートやバイクは体の五感を研ぎ澄まさせてくれるのでOK。
    あんまり癒されっぱなしでもいけないのではないかと思う。適度な緊張と弛緩が組み合わさって自己免疫力も高まるという気がする。

    ●食事

    野菜400g以上(野菜ジュース500ml必須)
    果物100g以上
    玄米食
    毎日大量の水を飲む
    砂糖、油を減らす

    食事療法としては超ナンパな我流のゲルソン療法(←しかられそう)
    ただ、野菜と果物の摂取はエビデンスがあるので良いだろう。

    玄米はいい。私たち日本人がどんな食品から、血や肉のもとになる「たんぱく質」を摂取しているかはあまり知られていない。
    国立栄養研究所には特定の栄養素を摂取するときに、実際にどんな食品が寄与しているのか(寄与率)を調べている。データベースによると、
    1位 米 10.3%
    2位 豚肉 5.5%
    3位 牛肉 5.2%
    となる。なんと米が豚肉や牛肉を押さえて第一位。日本人は摂取しているたんぱく質の10.3%をお米から摂取していることになる。米は重要だ。はずせない。
    特に、玄米にすれば、カリウムや食物繊維が摂取できるのである種のがん対策にもなる。

    野菜の調理は蒸すこと中心。おやつでも適当に食べる。
    今まで、バランスゴマをは健康のためといわれても、正直、切羽詰っていなかったからだめだった。やっぱりがんになって死ぬかもしれないという経験をするとやる気になる。

    ●薬草及びサプリメント

    サプリメントに頼り過ぎないように配慮しつつ、積極的に研究する。

    フコイダン
    びわの葉

    ●遠ざかるもの

    1 肥満
    2 アルコールは禁止。
    3 肉製品を極力抑える。
    4 乳製品は乳つながりということで遠ざかる
    5 嗜好品
    6 クーラー

    いくら海が好きでもマリーナの高たんぱく、高カロリーな食事は厳禁。

    肥満は特に危険。目標値は
    まみちゃん 165cm 55〜57kgの範囲(現在56.5kg)
    まーくん  176cm 70〜73kgの範囲(現在77kg)※
    ※厳しい(汗)

    ●仕事

    ほどほどをめざす。これだけのプログラム時間をとることができれば、極端な仕事はできない。

    思えば4年前は自宅と兼用の会社事務所から一歩も出ず、夜はビール片手に仕事。
    生活&仕事場は名古屋でも有数の高級マンション。広さは200岼幣紊△蝓⇒畆爾癸下爾△辰動貶發盂阿砲任覆ても良い。
    快適だから仕事も進む(と思っていた)。
    一日17時間労働で5時間睡眠、365日休みなしという生活に陥って行った。
    まみちゃんの体重は当時67kgまで肥大化。生活は快適なのに、日に日にストレスが貯まっていった。

    そうした生活がまみちゃんの乳がんの種を生み出したのかもしれない。
    僕はボートに出会って命拾いしたのかもしれない(←ちょっといいわけのような)

    ●ジャーナルの購読
    「統合医療でがんに克つ」
    管理栄養士のゆかりちゃんの栄養指導を受ける

    ●継続する治療

    超高濃度ビタミンC療法
    乳がんの定期検診

    玉川温泉、鳥取の温泉にもおもしろそうなので行ってみようと思う。
    四葉のクローバーしゃくなげロッジ

    四葉のクローバー

    少しの毒物はかえって生体にとって有効となるという考え方だ。ラジウム温泉療法はほぼこの考え方に沿っている。ところが、ホルミシスの効果については科学的には証明されているものではない。
    やわらぎの湯の岩盤浴の案内では、強いところで自然界のだいたい8倍。通常のところで約2倍。入る時間は強いところで10分。弱いところで30分となっている。
    私たちは、地球上の普通の場所で生活していても、やわらぎの湯の岩盤浴で受ける被爆量よりも多くの放射線を体に受けて生活しているのだ。
    そうしたことからも、やわらぎの湯の放射線がガンの治療に効くと考えるのは難しい。

    科学的な検証の手続きでは二重検盲試験というものがある。
    A ひとつの部屋はラジウム線が実際に出ている部屋。
    B もうひとつの部屋はラジウム線が出ていない部屋。
    医者にも患者にも実際にラジウム線が出ていることにして、ガンを患っている患者さんを無作為に割りつけ、どちらかの部屋に入っていただく。
    そうした上でラジウム線の効果を検証するのが二重検盲試験だ。
    こうした検定をしなければ、本当にラジウム線の効果があるのかどうかは証明できない。

    でも、僕はAB両方の群で大差なく効果が出ると予想してしまう。
    それまでのストレスフルな生活環境から離れ、温泉に入り、野菜たっぷりの食事を食べるわけでしょ。

    やわらぎの湯に来る典型的なパターンは
    「医者に余命何ヶ月といわれ、手の施しようがないと診断された。そこで最後の望みを託してここに来た。そうしたらどんどん元気になり、もう3年になる。」
    というもの。こうした人がかなり多いのは事実だ。

    もちろん、良くなって良かったなあと僕は思う。そして、そうした状況がまみちゃんにも起きて欲しいと思う。ただ僕は、
    1 そもそも、患者が受けたアメリカ式の余命告知は正しかったのだろうか
    2 また、それまで受けてきた抗がん剤の治療は正しかったのか
    という疑問がわいてしまう。

    医者から宣告された余命告知が正しかった人は残念ながら、やわらぎの湯に来られない。余命告知が正しくなかった人、つまり、余命何ヶ月という「診断」が間違っていた人だけがやわらぎの湯に来る。

    僕は、やわらぎの湯がいんちきだ、といいたいのではない。医者が行う余命告知に問題がないかといいたいのだ。

    余命告知は本来、診断ではない。ところが、患者からすれば、ガンの診断よりも重要な情報だ。患者はそこを聞きたいのだ。その重要さが医者にはわかっていないのではないかと思う。

    もっといえば、日本で行われている標準治療がほんとうに全てのガン患者にとって最適であるか疑わしい気がしている。診断から、施術にいたるまで様々な選択肢があり得る。しかし、日本の医療事情はこうした選択肢を患者に提示できるシステムになっていないのではないかと思う。

    生体には常に遺伝子情報に傷がついた細胞が生まれているという。それはストレスとか薬品とか、毒物によって促進される。アルコールやタバコも。乳がんの場合は乳製品も疑わしい。

    ガンは自己免疫力勝負の病気だ。
    本来、生体に備わっている免疫システムは遺伝子情報に傷がついた細胞を異物として排除する。ところがそれができていない状態で放置されてできたのがガン細胞だ。

    実際には重篤な状況であっても、患者が「生きることができる」という自身を持つことによって、免疫力が高まっていき、ガンを克服するということだってないとは言い切れない。
    患者どうしが励ましあうことで連帯感が生まれる。
    一人で戦っているのではないという気になることによって意欲もわく。大量に水を飲み、汗をかくことは人間のホメオスタシス機能にとっていいことだ。それまで眠っていた免疫機構が目覚めるのかもしれない。

    免疫システムには生きる意欲が大きな影響を与えると思う。もし余命告知が間違っていたら、間違った告知によって患者の生きる力を奪いかねない。
    日本の医療には、重篤な疾患を患っている人に対して、生きることを支えたり、勇気づけたりするシステムが不足していないか、と思う。

    明日でここに来て10日目になる。
    ロッジからやわらぎの湯まで3kmくらいの道のりだが、歩いて通うことが多い。
    県道から外れて田んぼ道を歩いて通う。会津の田んぼ道はとりわけ美しい。とんぼもこの1週間で急に赤くなってきた。
    まみちゃんはここへきてからも、多くの人たちに声を掛けられる。
    途中、運転手さんや他の利用者の人たちが車に乗って僕達を追い越していく。そのとき、車の中から僕たちを見つけて手を振ってくれる。どこへ行ってもまみちゃんは人気者だ。

    僕は途中で四葉のクローバーを2回も見つけた。いいことが起こると思う。

    まみちゃんの乳がんの状態は・・・大きさが小さくなってきている。だいたい半分くらいになっていると思う。
    やっぱり、奇跡なの?

    明日はまた超高濃度ビタミンC療法を受けるという。

    癌の代替治療

    梅雨が終わったと思ったらいきなり秋空で、ボートの夏はどこに行ったの?という2009年の夏。

    乳がんの宣告を受けたまみちゃんはロングクルーズの予定を急遽変更して、オルタナティブな癌治療を本格的に開始した。もっか、福島の田代市三春町で3週間の癌のキュアプログラムに取り組み中だ。あわせて、超高濃度ビタミンC療法を行っている。

    ぼくはまみちゃんにつきあいつつ、癌治療の合間に仕事をしている。ひょっとすると、僕の中にある未発見の癌の治療になっているかもしれない。

    ルキア号でクルーズするのはこのプログラムが終ってからだ。

    ●まみちゃんの治療プログラム

    まみちゃんの乳がんは
    1 腫瘍 レベル5の悪性
    2 段階 ステージ2
    3 転移 不明(検査途中で中止)
    4 診断 横浜市立大学病院
    というもの。横浜市立大学病院での標準治療(切除、抗がん剤、放射線)を拒否し、ラジウム温泉治療と超高濃度ビタミンC療法を選んだ。
    治療方針はまみちゃん自身がインターネットで検索し、意思決定したものだ。

    ●癌の標準治療

    抗がん剤は副作用が強い。
    抗がん剤の延命効果についてはエビデンスは認められるものの、延命効果が認められる人の割合は5%〜10%程度。
    ただし、日本ではほとんどの人が標準治療を受けている。
    乳房は他の内臓とは異なり、医師にとっては容易な手術だが、安易に切除されすぎているという批判もある。

    ●治療の概略

    1 ラジウム岩盤浴「やわらぎの湯」で転地療法を開始
    2 期間 2009年8月22日から9月12日まで
    3 郡山市にあるクリニックで超高濃度ビタミンC療法を合わせて施術
    4 日課
    05時30分 ロッジで起床
    06時30分 やわらぎの湯で岩盤浴
    07時30分 朝食
    10時30分 超高濃度ビタミンC点滴療法
    12時00分 散歩・ティータイム
    13時00分 岩盤浴
    14時00分 仕事
    17時30分 食事
    18時00分 岩盤浴
    20時00分 ロッジに帰宅

    ●やわらぎの湯について

    医療機関ではないので、「療法」ということばは一切使っていない。また効果があるとは喧伝されていない。
    しかし、利用者のほとんどが明らかに癌の代替治療機関でやわらぎの湯を利用している。

    治療プログラムは以下のとおり
    1 岩盤浴
      ラジウム線が検出される
    2 温泉浴
      ラジウム線が検出される
    3 霊水
      岩盤浴中に発汗するために水分補給のために利用する。ラジウム線が検出される
    4 食事 
      野菜と果物、魚介類、肉料理、魚料理、五穀米やの料理をバイキング形式で選択。野菜を多量に摂取できる。
    5 集団療法
      癌の体験談や情報交換を食事中に他の利用者と行う。
      ときどき、個性的な社長の話やヨガの先生の講話を聞く。

    ●超高濃度ビタミンC療法

    ビタミンCが栄養素であることは誰でも知っている。
    超高濃度ビタミンC点滴療法はビタミンCを血清中に400mg/dlになるようよう点滴すると、ガン細胞付近で発生する過酸化水素によってガン細胞が死滅するという現象を利用する療法。
    重要なのはビタミンCが正常細胞にはなんら悪影響がないという点。ここが抗がん剤とは根本的に異なる。
    ビタミンCはまだ抗がん剤としては正式認可を受けていないが、認可を受ける可能性がある。

    参考 超高濃度ビタミンC点滴療法 水上治

    まみちゃんは、郡山のクリニックでこの療法を受けている。
    とりたてて副作用はないが、強いて言えば施術によって血管痛が少しあるという。
    あと、帰って来たとき、顔がむくんでいた。

    超高濃度ビタミンC点滴療法はボートで真っ黒にやけた肌の「美白」にも使いたいと思っているのでちょうどいいらしい。

    ●やわらぎの湯の利用者

    宿泊客は1日だいたい150人前後?日帰り客は50人前後。3〜4泊の利用が中心。
    お盆や連休はこの3倍にはなる。

    やすらぎの湯では癌の治療に効果があるという人がリピーターとなっている。癌で亡くなられた方や効果がなかった方はリピーターにはならない。
    したがって、やわらぎの湯の利用者によるやわらぎの湯の効果の声にはバイアスが掛かっているのは当然だ。
    しかし、効果がある人がやたらに多いのは無視できない。
    ほとんどの人が抗がん剤の投与経験を持つ。まみちゃんのように、標準治療が未経験の人はおそらくいないのではないか。

    なぜ免疫システムが異常になるのか、またそれをどうやって正常化するのかについてはまだわかっていないことが多い
    日本で行われている癌の治療は基本的に対症療法だ。免疫システムを正常化することを目的とした治癒ではない。

    ラジウム線の癌に対する治療効果は再現性が確認されていない。それどころか、ラジウム線には発がん性があることが知られている。
    ただ、やわらぎの湯はなんらかの望ましい効果があることは間違いない。免疫力が高まるような気がする。

    効果の要因としては
    1 温熱療法としての効果
    2 ラジウム線の効果
    3 転地療法の効果(温泉、景色、食べ物、仕事、花火大会、ブルーベリー狩りなどのイベント)
    4 集団療法の効果
    5 食事の効果

    ラジウム線によって小さな異変が体全体で発生し、それまで不活性になっていた免疫システムが覚醒するという解釈が成り立つのかもしれない。
    体温が上がり、発汗し、水を大量摂取することによって、基礎代謝が上がり、食事が進み、必要な栄養素を補給できるようになるのかもしれない。
    循環系の機能が高まるのかもしれない。
    ストレッサーとなる生活環境から逃れることによって体調が好転するのかもしれない。

    癌の体験者による闘病生活の体験談を聞くことはよいことだ。
    恐れや不安から解放される。今や男性の半分、女性の3人に一人が癌にかかる。日本人の死因のトップ。ひとりで悩んでいるとそれがストレスになり癌の原因になるかもしれない。
    ここに来て、他の利用者から様々な情報を得ると「癌は当たり前、癌は治る病気」と思える。

    僕達は猟犬を伴って利用されているご夫婦と仲良くなり、ハンティングのいろんな面白い話をうかがうことができた。
    利用料金は岩盤浴の利用についても500円とリーズナブル。宿泊料も高くない。僕達はロッジを利用するが一泊6500円で、他の個室と価格設定が変わらない(ちょっと不思議)。
    ただ、利用者の平均年収は比較的高いことが予想される。

    やわらぎの湯の社長は「やわらぎ観音様の御利益かなあ」という。もちろん、否定しない。

    ●効果

    まだわからない。ただ、乳がん癌が小さくなってきたような気がする。
    生活はすこぶる快適だ。

    ●日本の医療について

    日本の癌治療は遅れているらしい。

    日本の医療は30兆円を越す。これは医療保険でまかなわれているため、国家予算とは別立てだ。詳しい数字はわからないが、癌患者に対する抗がん剤等の治療や無駄な手術で膨大な予算が使用されていることは疑う余地はない。その金額は、3兆円とも4兆円ともいわれている。
    (厚生労働省発表の平成18年の国民医療費では悪性新生物の医療費は2兆8千787億円で全体の11%を占めている)

    抗がん剤は莫大な利権だ。安価に合成できるビタミンCにとって代わられたら製薬会社はたまったものではないだろう。

    ガン退治は温熱療法か

    ロングクルーズは難しい。

    今日あたり横浜ベイサイドマリーナにフィンランドから空輸された穴の開いたルキア号のマフラー(?)が届いているはずだ。ただ、故障が発覚して日程が大幅に遅れてしまった。もともとの予定は8月10日出発。既に対馬には到着し、今頃は横浜に向けて瀬戸内海を航行しているはずだった。残念。

    ただ、航海に行けずとも後悔する必要はない。いつでも行けるからだ。船は安全を優先する事が大切だ。

    それよりも、もっか我が家のメインテーマは乳がんの対策だ。
    まみちゃんは「初期がん」という段階ではなく、既にステージ2期以上に入っている。けっこうシビアなのだ。

    今、我が家では乳がん対策をいろいろ考えている。
    先日行ってきた「やすらぎの湯」は効果があるかもしれない。
    素人考えなので専門家の方は笑って読み飛ばしていただきたいが、乳ガンは熱に弱いということがわかっているらしい。

    ガン細胞も体細胞だ。代謝や細胞分裂など、生きていくための様々な機構を備えている。ただ、正常細胞と比べると至らないところやおかしいところもある。

    ガン細胞の代表的な「欠陥」は冷却システムだ。人間の冷却システムといえば血流。対表面で発汗によって冷やされた血液が全身を回ることによって体細胞を冷やす。

    ドロドロ血になると発汗も少なくなり、同時に血流も悪くなるため冷却ができなくなる。真夏の熱中症は脱水が進むことによって起こる。水を飲むことによってドロドロ血が元に戻り、汗も出て冷却がうまくできる。

    肝心なのは、体細胞にきちんと網の目のように血管がめぐっていないといけないこと。ガン細胞はその組織内に、きれいに血管が張巡らされていないのではないだろうか。細胞壁がおかしいので、細胞内と血管の水分のやりとりも怪しそうだ。それで冷却がうまくできないのではないかと思う。ただ、弱点といっても正常細胞との差はわずかだろう。

    「低温やけど」という現象がある。人間の皮膚は45℃以上の温度で熱傷になる。45℃の場合1時間で火傷となる。ガン細胞は一概にはいえないまでも、これよりは低い温度で火傷となり、組織が破壊される。

    「やすらぎの湯」は岩盤浴が中心。一般の岩盤浴と比べると明らかに熱い。ちょっと危険な温度だと思えるくらい熱い。

    乳がんの組織は体表面に近い。ほんの1cm〜2cm。岩盤浴は遠赤外線なので体への浸透性は高い。うつぶせで岩盤浴を行えばガン細胞はなんらかの熱傷を受けるはずだ。そのとき、できるだけ正常細胞にダメージを与えないようにする必要がある。「やすらぎの湯」のしきたりでは多量の「霊水」を飲むことになっている。これは正常細胞の冷却システムをフル稼働させることになる。

    そう考えると、正常細胞はなんとか熱傷にならず、ガン細胞だけがダメージを受けるような岩盤浴の利用方法がありうるはずだ。

    というわけで、「やすらぎの湯」は我が家の素人ガン治療プロジェクトにとって、注目すべきスポットになっている。

    福島で乳ガンの湯治

    福島の三春町にある「やわらぎの湯」にガンの湯治に行ってきた。期間は8月13日から17日の4泊5日。ルキア号の整備期間を利用して急遽こしらえた「湯治のプログラム」だ。

    「やわらぎの湯」はガンの湯治で有名なところなのだそうだ。利用客の7割がなんらかのガンを患っている人という。その中でも圧倒的に乳がんの患者が多い。なかにはかなりガンのステージが進んでいると思われるような人もいた。

    やわらぎの湯は
    1 ラジウム線がでるという岩盤浴
    2 ラジウム線がでるという42度の温泉
    3 宿泊施設
    4 屋外舞台
    で構成されている。岩盤浴に1日2〜3回入り、「霊水」を多量に飲み、間に温泉につかり、野菜たっぷりの食事を採って過ごすというプログラム。汗をかくので「霊水」と呼ばれる井戸水を飲むことになっている。この水にもラジウム線が出ているということらしい。

    「霊水」は大量に飲む。だいたい、500ccのペットボトルで6本以上。3リットルは飲んでいると思う。確実に言えることは、
    1 水を飲むことで温泉の利用者は基礎代謝が増える。
    2 食事は野菜が豊富で、生活習慣化すればガンの予防になる。
    3 常に体を温めるので体脂肪が蓄積しにくく、これも乳ガン細胞の増殖になんらかの影響がある。
    4 温泉で湯治する生活はストレスが低く、ガン細胞の増殖に影響がある。
    ということ。こうした生活習慣の改善と併合した治療アプローチはもっと研究されてもよいと思うが、日本では様々な問題があってなかなか難しい。

    ただ、利用客のほとんどの人がすでに標準治療(切除、抗がん剤治療、放射線療法)を受けている人だ。まみちゃんのように、まったく切除も抗がん剤も使わないのにここに来ている人は少ない。

    オルタナティブな治療を探していこうといっても、怪しい民間療法にこだわるというわけではなく、標準治療以外の先進医療も試してみる予定になっているらしい。こういうところもビジネスを立ち上げてきた女性らしい。
    あくまでも「ガンとうまくつきあいながら治療を楽しむ」というノリでいこうということだ。うまく行かなければその時また考えることにしようと思う。

    せっかく福島まで行くならバイクで!ということになった。
    まみちゃんが乗るBMWのR1200Rは見た目にでかい。特にサイドトランクを左右につけ、それに女性が跨ると大迫力だ。「ふじこちゃん」の世界だ。←いいすぎ!

    BMWとCB750三春町宿の側




    R1200Rは100kmで走っていればリッター30kmも走る。100km以上は実に快適なバイクらしい。ほとんどアクセルは開けない。でも開けるとググッと加速する。
    でも女性にはやはり重過ぎ、でかすぎだ。わかっているけど人が見ているところでは決して取り回しは手伝わなかった。かっこ悪いので。

    温泉場の地面は砂利や坂が多い。坂も急坂だ。気を抜くとあっという間に転倒する。まみちゃんだけでなくCB750に乗りながらミラー越しに見ている僕も常にヒヤヒヤだった。

    そんなバイクで毎日温泉治療の湯治場に現われるので珍しいらしく
    「バイク、かっこいいねゃ」
    と女性スタッフや調理場の人に声を掛けてもらえる。ちなみに僕はひとことも声を掛けてもらったことはない。

    2日目は三春町のダムへ行ったり、商店街を散歩したりした。

    三春ダム




    3日目は猪苗代湖までツーリングに。磐梯山のスキー場にも。山と湖と美しい田園。会津藩の力の源を感じることができた。180度ターンが続く山道の上り下りでコーナリングもだいぶ自信がついたとか。
    猪苗代湖のマリーナ猪苗代湖


    磐梯山磐梯山スキー場





    4日目は定番観光の「あぶくま洞」までツーリング。鍾乳洞の探検コースに挑戦した。

    あぶくま洞




    17日はお盆休みの渋滞も終わったので東北自動車道を通って帰って来た。大渋滞しなかったとはいえ、やはり込んでいた真夏の東北自動車道だ。330kmの道のりがあって、僕はだいぶ疲れた。まみちゃんはどうなることかと思ったが、最後まで転倒も立ちゴケもしなかった。僕はぐったりした。が、まみちゃんは
    「ぜんぜん疲れないよ。まだ名古屋まで行けるよ」
    という。バイクがいいんだよ!

    せっかくもらった命だからね

    先週、横浜市立大学病院で最終的に受けた乳がんの検査結果が今日判明した。

    悪性の腫瘍、いわゆる癌だった。ただ、進行は非常に遅く、10年ほどかかってここまで来ているということもわかったのは幸いだった。二人ともある程度覚悟していたこともあって、結果をそのまま受け止めることができた。

    後は全身に転移がないかどうかを調べる検査が予定されている。検査をいつやるかについて、医師と話し合った。
    「今度、対馬にロングクルーズに行きたいので、その後がいいんですけれども。」とまみちゃん。
    「おお、それは冒険だねえ。ではもし無事に帰ってきたらそのときは検査をしましょう。」と担当医。
    そんな冗談とも本気ともとれない会話をしてきたそうだ。それだけ癌が深刻ではないということでもある。

    進行が遅いので、急いで検査をしなけれればならないということでもないのだ。また、抗がん剤を使うのではなく、ホルモン剤の治療でも充分だということもわかった。

    「10年は命は大丈夫そうですか。」
    「大丈夫だと思いますよ。」

    癌の宣告を受けることは厳しいことだが、考えようによっては、40代、50代になってからの10年は余生としては長いし、体力のあるうちに、せっかくもらった命を大切に生きていくことを教えてもらえたようなものだ。
    これから治療方法をじっくり調べ、じっくり医師と話し合って治療方針を決めていこうと思う。

    「おっぱいとってしまったら、同時に形成手術受けてもっといいのにしてやろ。」とか言って、どんなときも相変わらず前向きなまみちゃんだ。

    今回、たまたままみちゃんに癌が見つかってしまったが、年齢的、家系的に見て、恐らく僕にも体のあちこちに癌があると思う。
    人間は誰でも癌になる。
    もし癌になりたくなかったら早く死ぬしかない。

    人間は誰も死ぬ。死からのがれようとしても難しいのなら、せめて与えられた人生は有意義に過ごして生きたい。
    それで、これからは仕事はほどほどにしようと思う。いろんな場所に行き、いろんな景色に出会い、いろんな人にお会いして行きたい。

    というわけで、天気さえ良ければ、8月11日の火曜日に西に向けて出航したい。のんびりと仕事をしながらのロングクルーズとなる。
    僕達には最初から日本一周とか、無寄港○○日間といった壮大な夢はない。ただただ自然とボートと人との出会いをのんびり楽しむところに、ロングクルーズの楽しみがある。

    でも、海上での事故はいやなので、明日と明後日の2日間は上架して念入りに整備作業となる。
    今回の整備作業は見学させてもらうつもりなので、勉強になると思う。オカザキヨットのジュニアには無理を言って申し訳なかった。

    最初の宿泊地は下田。
    次は古巣のNTPマリーナ高浜。そういえばNTPマリーナ高浜で手取り足取り御世話になった浜ちゃんが、出世して今や所長さんになられているらしい。8月号のボートクラブで知った。お会いするのが楽しみだ。
    ここで計画を練り直し、次は西宮マリーナへ。

    さらに仕事をこなしながら西進し、尾道と因島で長期間の停泊。
    ここを拠点に四国方面の仕事をしながら門司、玄界灘、対馬を目指す。

    バイクは長期間乗れなくなるのもいやなので、時折、新幹線や飛行機で横浜に帰り(というか仕事の都合でそうなると思うが)、関東方面の仕事をこなしているときにちょこちょこ乗り、
    またルキア号に戻って航海を続ける、という超軟弱(?)で超豪華で、こうやったら仕事と両立するんだという、日常生活に溶け込んだロングクルーズを目指したい。

    乳がん騒動

    まみちゃんに乳がんの疑いがある。

    まみちゃんの左胸にしこりをみつけた日、不安で一杯になった。この経験は3年間にもしている。そのときは単に水が溜まっているということで何事もなかった。
    まみちゃんはひとりで乳腺外科に行き、検体をとったが水ではなく、今回は腫瘍だった。
    この後、取り出した検体を調べて悪性か、良性かを判断した。

    検査の結果が出るまでの一週間は長かった。悪性の癌かもしれない。きっと良性だ。いや、実は3年前からあったのではないか・・・。様々な思いが去来する。

    これまで「わたしくらい幸せな人は世の中にいない」というのがまみちゃんの口癖だった。それが、生まれて初めて死ぬということを実感した。まみちゃんは
    「死んじゃうとまーくんに会えなくなるのがいやだなあ」といって泣く。僕は何も答えることができなかった。その夜はふたりで泣いた。

    検査の結果を知らされる日が来た。
    病院は乳腺外科だけあって、ほとんどの人が乳がんの疑いや検診で訪れている。
    順番に患者が診察室に入っていく。しばらくたつと、みんな「良性だ」といわれて診察室を出てくる。
    みな安堵の表情。うちもきっとそうなる、と思った。

    まみちゃんが診察室から出てきたときの表情は皆と違っていた。わずかに硬い。
    「おどろいた・・・」
    診察室を出てくるときに、横目で僕の顔をみて、ぽつりと彼女はつぶやいた。僕は落胆の表情を隠すのに精一杯だった。

    悪性の腫瘍である疑いが強く、どうやら再検査が必要とのこと。かなり多めに検体をとり、再検査となった。
    診察料を彼女は病院の待合室で深ぶかとぼうしをかぶり、一点を見つめて動かない。乳腺外科を出てふたりで手をつなぎ、家までゆっくりと歩いて帰った。

    こんなことがあったので、僕はいつものようにこのブログを書けなくなった。

    ***

    乳がんの治療方針についてじっくり話し合った。まみちゃんは次々にインターネットで調べる。いろんな書き込みがある。診断が下っただけで鬱病になってしまう人もいる。

    乳がんは早期に発見すれば致死率が低い。だから大丈夫だと思う。
    ただ、抗がん剤の治療は苦しいことが多い。
    抗がん剤の治療のエビデンスについてみるとあまり効果が証明されているわけではないらしい。
    そのうえ、乳がんになれば抗がん剤の治療で苦しくて死にたいと思うかもしれない。
    抗がん剤治療についてもよくインフォームドコンセントを形成する必要がありそうだ。
    放射線治療は・・・。
    どこの病院で治療を受けるのが妥当なのか。
    セカンドオピニオン、サードオピニオンはどうする。
    これからはいろんな事を調べ、ひとつひとつ二人で意思決定をしていくことになる。

    7月25日は葉山の日影茶屋で役員会を開いた。ゆかりちゃんに名古屋の本社から来て貰い、どうやら乳がんの疑いがあるので仕事のほうもそれなりに対策をたてなければならないことを話し合った。

    これからの生活はできるだけ変えないで生きていくことを目標にした。
    まみちゃんが最愛の友であり、同じ志をもって仕事に励んできたゆかりちゃんとはこれからもいっしょに仕事をしたい。
    それだけではなく、できるだけ、いっしょにいる時間を長くしていきたい。

    やりたかったこともやる。大型バイクの免許にもチャレンジする。仕事もこれまでと同じ。
    まみちゃんが始めたすばらしいこの仕事を続けていくことが仕合せなのだから。
    ただし、仕事もはのんびりと。

    だから、今日も伊那、佐賀、松山と二人で移動しながらこれまでどおりの仕事を続けている。ちょっと豪勢に道後温泉で2泊はするけどね。

    「ねえねえ、癌保険がさあ確実にでるんだよね。入院したらそのお金で特別室に入っちゃおか。」
    「そうだな。あの病院だったら側にホテルがあるから通うのも楽だし、病室の横で開発の仕事もできるしね。」
    そんな軽口もでるようになった。

    僕も昨日くらいから、寝られるようになってきた。暗闇には魔物が棲む。ろくなことを考えない。でも、だんだん癌であるとを受け入れ、自分の役割を意識するようになる。

    死を意識しながら生活していくことになったが、まみちゃんは同じように仕事をこなしている。
    できるだけコントロールをしながら、体調をこわさないようにしていかなければ。そうすれば乳がんは恐れるに足らない。

    これまでだって日ごろから死を意識しなかったわけではない。僕は父親を僕が18歳のときに癌で亡くし、母親は30年来血液の造血に問題を抱えた生活をしている。それでも、明確な事象をつきつけられると、やっぱり人生が永遠ではないことを知らされる。

    しかし、誰にとってもそれは同じ。健康は誰にも無条件に与えられるものではない。
    「私はぜんぜん後悔はないよ。」
    とまみちゃん。僕もそれは同じだ。死ぬことが不仕合せなわけでもない。

    ***

    今日は松山の道後温泉から飛行機で横浜に戻った。再検査の診断結果を伝えられる日だ。

    最近の検査は精度が高く、ほとんど外れることはない。再検査はセレモニーのようなものだ。覚悟を決めて診察室に入っていった。
    診察室から出てきて僕に伝えられた結果は「良性」。信じられなかった。こんなことがあるのか、と思った。

    診察結果、細胞検査の結果やマンモグラフィーの検査結果を持って、明日横浜市民病院に行くことになった。
    検査結果が良性ではあっても今後、乳房の切除は免れなさそうだ。ただ、そんなことは大きなことではない。今しばらく生きていけることが嬉しかった。

    帰り道、
    「光が違って見える」
    とまみちゃん。
    「悪性といわれても、良性と言われても泣けてくるな。」と僕。
    「いっぱい触らせてあげるね」
    「あはは」
    僕は泣き笑い状態で、笑って答えるのがせいいっぱいだった。

    僕達はこれまで癌になった人の気持ちがわかっていなかったことがわかった。今ある当たり前の人生が、当たり前ではなくなって見えた。
    また二人で生きていける仕合せと有難さを噛み締めながら、これからもこの能天気なブログを書いていこうと思う。
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